確定拠出年金の出口戦略【60歳に近い人ほど、現金比率を上げるべき理由】
多くの企業で取り入れられている確定拠出年金ですが、皆様はしっかりとした出口戦略を考えていますでしょうか?所得税の減税や運用益の非課税というメリットに注視し過ぎて、確定拠出年金でしっかりと運用益を受給するための重要な出口戦略を疎かにしていませんか?
今回は確定拠出年金の出口戦略について紹介します。
確定拠出年金とは
401kなどと呼ばれる、個人で拠出した資金を運用し、受給時には運用益は非課税で受け取ることが出来る制度となります。また、確定拠出年金に拠出した資金は所得税の課税対象額として扱われないというメリットもある税金的に非常にメリットの高い精度となります。確定拠出年金は企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金(iDeCo)があります。一般的には企業型確定拠出年金では、企業の口座管理手数料などの諸経費負担がありますが、投資商品のラインナップが少ない場合もあります。一方で、個人型確定拠出年金では、諸経費は個人負担となりますが、証券会社で始めれば投資商品のラインナップが豊富なことが多いです。
確定拠出年金の注意事項
確定拠出年金を始める上で気を付けたい注意事項は以下になります。
・途中解約が出来ない
・受け取りは60歳以降
・年金として受け取るには60歳~70歳までに年金型で申請が必要
※確定拠出年金の受給方法は年金型か一時金型の2種類を選べる。どちらを選ぶかは退職金の受け取りでどの程度税制上の控除を利用しているかによるが、詳しくは本記事では割愛する。
確定拠出年金の受け取りで避けたいパターン
いざ、60歳になり年金として受給しよう思った際に、市場で大暴落が発生していたらなかなか利益を確定させて受給したいとは思えませんよね?もう少し待った方が評価額が戻るのではないかと思ってしまうかもしれません。
それが、株式型に100%運用してしまっていたら、株式市場の大暴落の痛手をもろにうけてしまうでしょう。
そうすると、受給年齢がどんどん後ろ倒しになってしまう事も予想されます。
ただ、確定拠出年金は60歳~70歳まで運用可能なので、70歳ギリギリまで運用するのも一つの手ですが、利回りを重視し過ぎてさらに暴落で取り返しのつかない利回りの低下に巻き込まれる場合もあるかもしれません。
こんな残念な確定拠出年金の受け取りパターンは避けたいところです。
確定拠出年金の出口戦略とは?
では、どのように対策すれば市場の暴落を受けても受給時に影響が少なかったでしょうか。それは、年齢が上がるにつれて現金比率を上げておけば良かったのです。
例えば、株式型の投資信託の成績が良いからと、50歳になっても株式型投資信託で100%運用していたら、暴落のダメージをもろに受けてしまうことでしょう。
しかし、株式型の投資信託の比率を50%程度にして、現金比率を50%にしていれば仮に株価が20%下落しても、資産全体での下落は株式型50%中の20%なので、10%の下落に抑えられるでしょう。
このように、確定拠出年金では出口(自分の受給年齢)が近づくにつれて現金比率を上げた方がリスクを減らせるでしょう。
一方で、まだ20代~30代の人達はまだまだリスクを取って値上がりを狙っても良い年齢と言えます。なぜならば、仮に22歳からずっと株式型の投資信託で運用していて、35歳になったタイミングで大暴落が起こっても、残りの15年で株価が戻る確率が高いからです。
確定拠出年金では運用可能年齢が決められている事や年金として受給できる年齢も定められているので、年齢が上がるごとにリスクオフ資産の割合を増やしていくことが大事な出口戦略となります。
具体的な出口戦略例は?
ここからは、筆者ならばこうするというモデルを紹介します。
- 20代~40歳までは株式型オンリー
- 40歳~50歳に掛けて、株式比率をだんだんと6割〜8割程度まで低下させる
- 50歳~60歳では、60歳の時点で現金比率9割程度になるように年々株式比率を下げる
- 70歳まで運用する場合は上記を10年づつ繰り上げる
※市場の過熱感が高い時や米国の金利上昇が予想されている場合は早い段階で現金比率を上げる。経済的なニュースには疎い人は55歳までには現金比率9割でも良いと思います。
※何かの指標をモデルにしたシミュレーションをしている訳ではなく、ある程度の区切りという意味で上記のようなモデルになっています。
※70歳まで運用した方が運用益が大きくなるかも知れませんが、そこは老後の資金繰り状況次第と言ったところでしょう。
まとめ
如何でしたか?確定拠出年金の出口戦略は参考になりましたでしょうか?
確定拠出年金の受給年齢が近くなるにつれて現金比率を上げる戦略をとることで、評価資産の目減りリスクを下げる事ができます。
60歳で需給を開始したら、その時点では全て現金になるので、60歳ギリギリまで下落リスクを負うような運用は避けた方が良いです。確定拠出年金は現在の年金制度を補助する制度として、ぜひ活用して行きたい制度ですので、しっかりと制度を理解して戦略的に活用したいですね。
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